彼方《あっち》へ往けよ」
 とこれから村方に作右衞門と云う口利《くちきゝ》が有ります、これを頼んで土手の甚藏の処へ掛合いに遣《や》りました。

        三十一

 作「御免なせえ」
 甚「イヤお出でなせえ」
 作「ハイ少し相談ぶちに参《めえ》りましたがなア」
 甚「能《よ》くお出《いで》なせえました」
 作「私《わし》イ頼まれて少し相談ぶちに参《めえ》ったが、お前等《めえら》の家《うち》に此の頃|年齢《としごろ》二十二三の若《わけ》え色の白《しれ》え江戸者が来て居ると云う話、それに就《つ》いて少し訳あって参《めえ》った」
 甚「左様で、出ちゃアいけねえ引込《ひっこ》んで居ねえ」
 新吉は薄気味が悪いから蒲団の積んで有る蔭へ潜り込んで仕舞いました。
 甚「ヘエ、な、何《なん》です」
 作「エヽ、今日少しな、訳が有って三藏どんが己《おら》が処《とけ》え頭を下げて来て、偖《さて》作右衞門どん、何《ど》うも他《た》の者に話をしては迚《とて》も埓《らち》が明かねえ、人一人は大事な者なれども、何うも是非がねえから無理にも始末を着けなければなんねえから、お前等《めえら》をば頼むと云うまアーづ
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