から見にお出でなさえ、此の間見たが、本の間に役者の人相書の絵が有るからね…雨が降って来た」
新「其処《そこ》まで御一緒に」
娘「何《ど》うせお帰り遊ばすなれば私《わたくし》の屋敷の横をお通りになりますから御一緒に、あの傘を一本お寺様で借りてお出でよ」
下女「ハイ」
と下女がお寺で番傘を借りて、是から相合傘《あい/\がさ》で帰りましたが、娘は新吉の顔が眼先を離れず、くよ/\して、兄に悟られまいと思って部屋へ這入って居ります。新吉の居場処《いばしょ》も聞いたがうっかり逢う訳に参りません、段々《だん/\》日数《ひかず》も重《かさな》ると娘はくよ/\欝《ふさ》ぎ始めました。すると或夜日暮から降出した雨に、少し風が荒く降っかけましたが、門口《かどぐち》から、
甚「御免なさい/\」
三「誰だい」
甚「ヘエ旦那御無沙汰致しました」
三「おゝ甚藏か」
甚「ヘエ、からもう酷《ひど》く降出しまして」
三「傘なしか」
甚「ヘエ傘の無いのでびしょ濡《ぬれ》になりました、何《ど》うも悪い日和《ひより》で、日和癖で時々だしぬけに降出して困ります…エヽお母様《っかさん》御機嫌よう」
三「コウ
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