ねねえだが秋口は用が多えで此の間買った馬は二両五粒だが、高《たけ》え馬だ、見毛《みけ》は宜《い》いが、何《ど》うも膝頭《ひざっこ》突く馬で下り坂は危ねえの、嚏《くしゃみ》ばかりして屁《へ》ベエたれ通しで肉おっぴり出す程だによ、婆ア様に宜しく云って下せえ、左様だら」
 新吉は内で此の話を聞いて居りましたが、お久を葬むったと云うから参詣《さんけい》しなければ悪いと思い、
 新「もし/\」
 農「あゝ魂消《たまげ》た、何処《どこ》から出ただ」
 新「私《わたし》は此処《こゝ》に居《い》るので」
 農「誰《たれ》も居ねえと思ったが何《なん》だか」
 新「只今お聞き申しましたが土手の脇で殺されました女の死骸は、何《なん》と云うお寺へ葬りになりました、三藏さんてえお方が追福《ついふく》なさると聞きましたが、何と云うお寺へ葬りましたか」
 農「法蔵寺様てえ寺で、累《かさね》の葬ってある寺と聞けば直《じき》に知れます」
 新「ヘエー成程」
 農「何《なん》だね、なに其様《そん》な事を聞くのか」
 新「私は無尽《むじん》のまじないに、なにそう云う仏様に線香を上げると無尽が当ると云うので、ヘエ有難う存じま
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