れは何《ど》うも驚きました」
新「叱《し》っ、何も仔細はない、頭へ届けさえすれば仔細はない事だが、段々物入りが続いて居る上に又物入りでは実に迷惑を致す、殊《こと》には一時面倒と云うのは、もう追々月迫致して居《お》ると云う訳で、手前は長く正当に勤めてくれたから誠に暇を出すのも厭だけれども、何うか此の死骸を、人知れず、丁度宜しい其の葛籠へ入れて何処《どこ》かへ棄てゝ、然《そ》うして貴様は在処の下総《しもふさ》へ帰ってくれよ」
三「ヘエ、誠に、それはまあ困ります」
新「困るったって、多分に手当を遣《や》りたいが、何うも多分にはないから十金遣ろうが、決して口外をしてはならぬぞ、若《も》し口外すると、己《おれ》の懐から十両貰った廉《かど》が有るから、貴様も同罪になるから然う思って居ろ、万一この事が漏れたら貴様の口から漏れたものと思うから、何処までも草を分けて尋ね出しても手打にせんければならぬ」
三「ヘエ棄てまするのはそれは棄ても致しましょうし、又人に知れぬ様にも致しますが、私《わたくし》は臆病で、仏の入った葛籠を、一人で脊負《しょ》って行くのは気味が悪うございますから、誰《たれ》かと差担
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