して手前《てめえ》金を幾ら取った」
 新「幾らにも何も取りは致しません」
 甚「分らねえ事を云うな、金を取らねえで何《な》んで殺した、金があるから殺して取ったろう、懐《ふところ》に有ったろう」
 新「金も何も無いので」
 甚「有ると思ったのが無《ね》えのか」
 新「ナニ然《そ》うじゃアございません、あれは私《わたくし》の女房でございます」
 甚「分らねえ事を云う、ナニ此畜生《こんちきしょう》、女房《かゝあ》を何《な》んで殺した、外《ほか》に浮気な事でもして邪魔になるから殺したのか」
 新「ナニ然《そ》うじゃア無いので」
 甚「何《ど》う云う訳だ」
 新「困りますナ、じゃア私《わたくし》が打明けてお話致しますが、貴方決して口外して下さるな」
 甚「なに、口外しねえから云えよ」
 新「本当でげすか」
 甚「為《し》ないよ」
 新「じゃア申しますが実は私《わたくし》はその、殺す気も何もなく彼処《あすこ》へ参りますと、あれがその、お化《ばけ》でな」
 甚「何がお化だ」
 新「私《わたくし》の身体へ附纒《つきまと》うので」
 甚「薄気味の悪い事を云うな、何が附纒うのだ」
 新「詳しい事を申します
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