すね、何《なに》もそんな事を、何うも是は、何うも外の事と違いますからねエ、何うもヘエ、人を殺すなぞと、そんな私《わたくし》ども、ヘエ何うも」
 甚「此畜生分らねえ才槌《さいづち》だな、間抜め、殺したに相違ねえ、そんな奴を置くと村の難儀になるから、手前《てめえ》を追出す代りに、己の口から訴人して、踏縛《ふんじば》って代官所へでも役所へでも引くから然《そ》う思え」

        二十六

 新「何うも私《わたくし》はもうお暇《いとま》致します」
 甚「行きねえ、己が踏縛《ふんじば》るからいゝか」
 新「そんな、何うも、無理を仰しゃって、私《わたくし》が何《な》んで、何うも」
 甚「分らねえ畜生だナ、手前《てめえ》殺したと打明けて云えよ、手前の悪事を、己は兄分《あにぶん》だから云う気遣《きづけえ》はねえ、お互《たげえ》に、悪事を云ってくれるなと隠し合うのが兄弟分《きょうだいぶん》のよしみだから、是っぱかりも云わねえから云えよ、云わなければ代官所へ引張《ひっぱ》って行くぞ、さア云え」
 新「ヘエ、何うも、ち…些《ちっ》とばかり、こ…殺しました」
 甚「些とばかり殺す奴があるものかえ、女を殺
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