そうと存じます」
甚「是から行ったって泊める処《とこ》もねえ小村《こむら》だから、水街道へ行かなけりゃア泊る旅籠屋《はたごや》はねえ、まア宜《い》いやナ、江戸子《えどっこ》なれば懐かしいや、己も本郷菊坂生れで、無懶《やくざ》でぐずッかして居るが、小博奕が出来るから此処《こゝ》に居るのだが、お前《めえ》も子柄《こがら》はよし、今の若気《わかぎ》でこんな片田舎へ来て、儲かる処《どころ》か苦労するな、些《ちっ》とは訳があって来たろうが、お前が此処で小商《こあきない》でも仕ようと云うなら己《おら》が家《うち》に居て[#「家《うち》に居て」は底本では「家《うち》て居に」]貰いてえ、江戸子てエ者は、田舎へ来て江戸子に遇《あ》うと、親類にでも逢った心持がして懐かしいから、江戸と云うと、肩書ばかりで、身寄でも親類でもねえが其処《そこ》ア情合《じょうあい》だ、己は遊んで歩くから、家はまるで留守じゃアあるし、お前此処に居て留守居をして荒物や駄菓子でも并《なら》べて居りゃア、此処は花売や野菜物《せんざいもの》を売る者が来て休む処で、何《なん》でもポカ/\捌《はけ》るが、おいお前留守居をしながら商売《あきね
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