した」
 甚「まア斯《こ》う、見ねえ、是はノ、其の女を殺した奴が投《ほう》り出した鎌を拾って来たが、見ねえ」
 と鎌の刄《は》に巻付けてあった手拭をぐる/\と取って、
 甚「此の鎌で殺しゃアがった、酷《ひど》い雨で段々|血《のり》は無くなったが、見ねえ、血《ち》が滅多に落《おち》ねえ物とみえて染込《しみこ》んで居らア、磨澄《とぎすま》した鎌で殺しゃアがった、是で遣《や》りゃアがった」
 新「ヘエー誠に何《ど》うも怖《おっか》ない事でげすナ」
 甚「ナニ」
 新「ヘエ怖《こわ》い事ですねえ」
 甚「怖いたって、此の鎌で是れで遣りゃアがった」
 新「ヘエ」
 と鎌と甚藏を見ると、先刻《さっき》襟首を取って引摺り倒した奴は此奴《こいつ》だな、と思うと、身体が慄《ふる》えて顔色《がんしょく》が違うから、甚藏は物をも言わず新吉の顔を見詰めて居りましたが、鎌をだしぬけに前へ投《ほう》り付けたから、新吉は恟《びっく》りした。
 甚「おい/\余《あんま》り薄気味《うすっきみ》がよくねえ、今夜は泊って行きねえ」
 新「ヘイ大きに雨が小降《こぶり》になりました様子で、是で私《わたくし》はお暇《いとま》を致
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