こ》う縛るから」
 久「あゝ大きに痛みも去った様でございますよ」
 新「我慢してお出でよ、私が負《おぶ》い度《た》いが、包を脊負《しょ》ってるから負《おぶ》う事が出来ないが、私の肩へ確《しっか》り攫《つか》まってお出でな」
 と、びっこ引きながら、
 久「あい有難う、新吉さん、私はまア本当に願いが届いて、お前さんと二人で斯《こ》う遣《や》って斯んな田舎へ逃げて来ましたが、是から世帯《しょたい》を持って夫婦|中能《なかよ》く暮せれば、是程嬉しい事はないけれども、お前さんは男振《おとこぶり》は好《よ》し、浮気者と云う事も知って居るから、ひょっとして外《ほか》の女と浮気をして、お前さんが私に愛想が尽きて見捨てられたら其の時は何《ど》うしようと思うと、今から苦労でなりませんわ」
 新「何《なん》だね、見捨てるの見捨てないのと、昨夜《ゆうべ》初めて松戸へ泊ったばかりで、見捨てるも何も無いじゃアないか、訝《おか》しく疑るね」
 久「いゝえ貴方は見捨てるよ、見捨てるような人だもの」
 新「何《なん》でそんな、お前の伯父さんを便《たよ》って厄介になろうと云うのだから、決して見捨てる気遣《きづかい》はな
前へ 次へ
全520ページ中119ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング