下総の伯父さんの処へ逃げて行きたいが、まさかに女一人で行かれもしませんからね」
二十二
新「それじゃア下総へ一緒に行きましょうか」
と又怖いのも忘れて行《ゆ》く気になると、
久「新吉さん本当に私を連れて行って下さるなら、私は何様《どのよう》にも致します、屹度、お前さん末《すえ》始終|然《そ》う云う心なら、彼方《あっち》へ行けば、伯父さんに頼んで、お前さん一人位|何《ど》うにでも致しますから、何卒《どうぞ》連れて行って」
と若い同士とは云いながら、そんなら逃げよう、と直《すぐ》に墓場から駈落《かけおち》をして、其の晩は遅いから松戸《まつど》へ泊り、翌日宿屋を立って、あれから古賀崎《こがざき》の堤《どて》へかゝり、流山から花輪村《はなわむら》鰭ヶ崎《ひれがさき》へ出て、鰭ヶ崎の渡《わたし》を越えて水街道《みずかいどう》へかゝり、少し遅くはなりましたが、もう直《じき》に羽生村だと云う事だから、行《ゆ》くことにしよう、併《しか》し彼方《あちら》で直《すぐ》に御飯をたべるも極りが悪いから、此方《こゝ》で夜食をして行《い》こうと云うので、麹屋《こうじや》と云う家で夜食を
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