が出来て来たのを折《おり》へ入れて提げて帰りました」
 新「それは誠にお気の毒様で、然《そ》う見えたので……気の故《せい》で見えたのだね……眼に付いて居て眼の前に見えたのだナ彼《あれ》は……斯《こ》んな綺麗な顔を」
 久「何を」
 新「エヽ何サ宜《よ》うございます」
 久「新吉さんいゝ処でお目に掛りました、私は疾《とう》からお前さんにお話をしようと思って居りましたが、私の処のお母《っか》さんは継母《まゝはゝ》でございますから、お前さんと私と、何《なん》でも訳があるように云って責折檻《せめせっかん》をします、何でも屹度《きっと》新吉さんと訳が有るだろう、何《なん》にも訳がなくって、お師匠さんが彼様《あんな》に悋気《りんき》らしい事を云って死ぬ気遣いは無い、屹度訳があるのだろうから云えと云うから、いゝえお母さんそんな事があっては済みませんから、決して然《そ》う云う事はありませんと云うのも聴かずに、此の頃はぶち打擲《ちょうちゃく》するので、私は誠に辛いから、いっそ家を駈出して、淵川《ふちかわ》へでも身を沈めて、死のうと思う事が度々《たび/″\》ございますが、それも余《あんま》り無分別だから、
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