生屋の娘お久、
久「おや/\新吉さん」
新「おや/\お久さん、誠に何《ど》うも、何うしてお出でなすった、恟《びっく》りしました」
久「私はね、アノお師匠さんのお墓参りをして上げたいと心に掛けて、間《ま》さえあれば七日/\には屹度《きっと》参ります」
新「そうですか、それは御親切に有難う」
久「お師匠さんは可哀相な事でして、其の後《のち》お目に掛りませんが、貴方は嘸《さぞ》お力落しでございましょう」
新「ヘエ、もう何《ど》うも落胆《がっかり》しました、是は大層結構なお花を有難う、何うも弱りましたよお久さん」
久「アノお前さん此の間蓮見鮨の二階で、私を置放《おきっぱな》しにして帰ってお仕まいなすって」
新「えゝナニ急に用が出来ましてそれから私が慌《あわ》てゝ帰ったので、つい御挨拶もしないで」
久「何《なん》だか私は恟りしましたよ、私をポンと突飛ばして二階からドン/\駈下《かけお》りて、私はまア何《ど》うなすったかと思って居りましたら、それ切《ぎ》りでお帰りも無し、私は本当に鮨屋へ間《ま》が悪うございますから、急に御用が出来て帰ったと云いましたが、それから一人ですから、お鮨
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