今日《こんにち》御返金を願います、馬鹿々々しい、幾度来たって果《はて》しが附きませんからなア」
 新「これ、何《なん》だ大声を致すな、何だ、痩せても枯れても天下の直参が、長らく奉公をした縁合を以《もっ》て、此の通り直々に目通りを許して、盃《さかずき》でも取らすわけだから、少しは遠慮という事が無ければならぬ、然《しか》るを何だ、余《あま》り馬鹿々々しいとは何《ど》ういう主意を以て斯《かく》の如く悪口《あっこう》を申すか、この呆漢《たわけ》め、何だ、無礼の事を申さば切捨てたってもよい訳だ」
 宗「やア是は篦棒《べらぼう》らしゅうございます、こりゃアきっと承りましょう、余《あんま》りと云えば馬鹿々々しい、何《なん》でげすか、金を借りて置きながら催促に来ると、切捨てゝもよいと仰しゃるか、又金が返せぬから斬って仕舞うとは、余り理不尽じゃアありませんか、いくら旗下《はたもと》でも素町人《すちょうにん》でも、理に二つは有りません、さア切るなら斬って見ろ、旗下も犬の糞《くそ》もあるものか」
 と宗悦が猛《たけ》り立って突っかゝると、此方《こちら》は元来御酒の上が悪いから、
 新「ナニ不埓《ふらち》な事
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