んでは困ります、ヘエ慥《たし》かに何時《いつ》幾日《いっか》と仰しゃいませんでは、私《わたくし》は斯《こ》ういう不自由な身体で根津から小日向まで、杖を引張って山坂を越して来るのでげすから、只出来ぬとばかり仰しゃっては困ります。三年越しになってもまだ出来ぬと云うのは、余《あんま》り馬鹿々々しい、今日《きょう》は是非半分でも頂戴して帰らんければ帰られません、何《なん》ぼ何でも余《あんま》り我儘でげすからなア」
新「我儘と云っても返せぬから致し方がない、エヽいくら振ろうとしても無い袖は振れぬという譬《たとえ》の通りで、返せぬというものを無理に取ろうという道理はあるまい、返せなければ如何《いかゞ》いたした」
宗「返せぬと仰しゃるが、人の物を借りて返さぬという事はありません、天下の直参《じきさん》の方が盲人の金を借りて居て出来ないから返せぬと仰しゃっては甚《はなは》だ迷惑を致します、そのうえ義理が重なって居りますから遠慮して催促も致しませんが、大抵|四月縛《よつきしばり》か長くても五月《いつゝき》という所を、べん/″\と廉《やす》い利で御用達《ごようだて》申して置いたのでげすから、ヘエ何うか
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