申し上げるのはお気の毒でげすが、先年|御用達《ごようだ》って置いたあの金子の事でございます、外《ほか》とは違いまして、兼が御奉公を致しましたお屋敷の事でございますから、外よりは利分《りぶん》をお廉《やす》く致しまして、十五両一分で御用達ったのは僅《わず》か三十金でございますが、あれ切《ぎ》り何とも御沙汰がございませんから、再度参りました所が、何分《なにぶん》御不都合の御様子でございますから遠慮致して居《お》るうちに、もう丁度足掛け三年になります、エ誠に今年は不手廻《ふてまわ》りで融通が悪うございます、ヘエ余り延引になりますから、ヘエ何《ど》うか今日《こんにち》は御返金を願いたく出ましてございます、ヘエ何うか今日は是非半金でも戴きませんでは誠に困りますから」
 新「そりゃア何うもいかん、誠に不都合だがのう、当家も続いて不如意でのう、何うも返したくは心得て居《い》るが、種々《いろ/\》その何うも入用が有って何分差支えるからもうちっと待てえ」
 宗「殿様え、貴方《あなた》はいつ上《あが》っても都合が悪いから待てと仰しゃいますがね、何時《いつ》上れば御返金になるという事を確《しっ》かり伺いませ
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