いと仰しゃるぜ」
駕「いゝったって今明けてお這入んなすった様だった、女中がネ、然《そ》うでないのですか、何《なん》だか訝《おか》しいな、じゃア行《ゆ》こうよ」
と駕籠を上げに掛ると、
駕「若《も》し/\、お女中が中に這入って居るに違いございません、駕籠が重うございますから」
新「エヽ、南無阿弥陀仏/\」
勘「オイ駕籠屋さん、戸を明けて見な」
駕「左様《そう》でげすか、オヤ/\/\成程居ない、気の故《せえ》で重《おも》てえと思ったと見える、成程|何方《どなた》も入らっしゃいません、左様《さよう》なら」
勘「これ新吉、表を締めなよ手前《てめえ》のお蔭で本当に此の年になって初めて斯《こ》んな怖い目に遇《あ》った、家《うち》は閉めて行《ゆ》くから一緒に行《い》きな」
新「伯父さん/\」
勘「何《なん》だよ、いやに続けて呼ぶな、跡の始末を附けなければならねえ」
と云うので是から家《うち》の戸締りをして弓張を点《つ》けて隣へ頼んで置いて大門町から出かけて行《ゆ》きます。新吉は小さくなって慄《ふる》えながら仕方なしに提灯を持って行《ゆ》く、
勘「さア新吉、然《そ》う後《あと》へ
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