きに御苦労様で、実は新吉は、私に拠《よんどころ》ない用事があって、此方《こちら》へ参って居る留守中に師匠が亡なりまして、皆さん方が態々《わざ/\》知らして下すって有難うございます、生憎《あいにく》死目《しにめ》に逢いませんで、貴方がたも誠にお困《こまり》でございましょう、実に新吉も残惜《のこりお》しく思います、何《いず》れ只今私も新吉と同道で参りますから、ヘエ有難う、誠に御苦労様で」
 長屋の者「左様で、じゃアお早くお出《い》でなすって」
 勘「只今私が連れて参ります、誠に御苦労様、馬鹿」
 新「其様《そんな》に叱っちゃアいけません、怖い中で叱られて堪《たま》るものか」
 勘「己《おれ》だって怖いや、若衆大きに御苦労だったが、待賃《まちちん》は上げるがもう宜しいから帰っておくんなさい」
 駕籠屋「ヘエ、何方《どなた》かお乗りなすったが、駕籠は何処《どこ》へ参ります」
 勘「駕籠はもう宜しいからお帰りよ」
 駕「でも何方かお女中が一人お召しなすったが」
 勘「エヽナニ乗ったと見せてそれで乗らぬのだ、種々《いろ/\》訳があるから帰っておくれ」
 駕「左様でげすか、ナ、オイ駕籠はもう宜《い》
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