るに違《ちげ》えねえ、今連れて行くんじゃアねえか」
 と云いながらも、なんだか訝《おか》しいと思うから裏へ廻って、
 勘「若衆《わかいしゅ》少し待っておくんなさい」
 新「長屋の彦六さんがからかうのだから」
 勘「師匠/\」
 新「伯父さん/\」
 勘「えゝよく呼ぶな、何《なん》だえ」
 新「若衆少し待っておくれ、師匠/\」
 と云いながら駕籠の引戸を明けて見ると、今乗ったばかりの豊志賀の姿が見えないので、新吉はゾッと肩から水を掛けられる様な心持で、ブル/\慄《ふる》えながら引戸をバタリと立てゝ台所へ這上《はいあが》りました。
 勘「何《な》んて真似をして居るのだ、ぐず/\して何《なん》だ」
 新「伯父さん、駕籠の中に師匠は居ないよ」
 勘「エヽ居ねえか本当か」
 新「今明けて見たら居ねえ、南無阿弥陀仏/\」
 勘「厭《いや》だな、本当に涙をこぼして師匠が己《おれ》に頼んだが、お前《めえ》が家《うち》を出なければ斯《こ》んな事にはならねえ、お前《めえ》が出て歩くから斯んな事に、オイ表に人が待って居るじゃアねいか己《お》れが出よう」
 と云うので店へ出て参りまして、
 勘「お長屋の衆、大
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