が何とか云いましたっけ、治平《じへい》[#ルビの「じへい」は底本では「じへん」]さんかえ、武骨真面目なお方で、※[#「口+云」、第3水準1−14−87]《うん》とお店に坐っている様子てえものは、実に山が押出《おしだ》したような姿で、何となく気がつまりましたから、裏口から這入ってお内儀《かみ》さんにお目通りを致しましたが、坊ちゃんは大層大きくお成《な》んなさいましたな」
旦「彼《あれ》は坊じゃない嬢だよ」
三「へえお嬢さんでげすか、そう仰しゃれば何処かお優しい品の宜《よ》いところが有りましたよ」
旦「何うも君は押付けたような事をいうのが面白い……君に出会ってこのまゝ別れるのは戦争《いくさ》の法には無《ね》えようだから、何《どう》だえ何処かでお飯《まんま》を喰《た》べてえが付合わねえか」
三「これは恐れ入りやすな、私《わたくし》の腹の空《へ》った顔が貴方にちゃんと解るなんてえのは驚きやしたなア、何うか頂戴致したいもので」
旦「君何処へ往ったのだえ」
三「なに少し大茂へちょいと」
旦「周旋かえ」
三「いえ然《そ》うじゃア無いんですが、方々へ種々《いろん》な会がありますと、ビラなんぞを誂《あつ
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