て腹を立ってはいけませんよ」
庄「なに僕は悪い処《とこ》へ来ましたよ、他の芸妓と違ってお前は会津藩でも大禄《たいろく》を取った人の娘だから、よもや己を騙《だま》すような事は有るまいと思ったから、一昨日《おとゝい》母にも親族にも打明《ぶちあ》けたのは僕が過《あや》まりました、お前はよく今まで己を騙したね」
美「騙す訳も何も無いんです、今急に身請の話が出たのですもの」
庄「身請に成るなら本当に手紙の一本位よこしてもいゝんだ、もう親族にまで打明《うちあ》け、此方《こっち》で身請をしようという話がつけば何《ど》の位金を出すか知れんが、手前《てまい》だって親族も有るからそれだけに為《し》ねえことはない」
婆「何だえ、その音は、何うしたんだえ、そんなに機嫌を取るから悪いんだ、機嫌を取りゃア宜《い》い気になって、色男振りやアがって、人の家《うち》の娘を打《ぶ》ったり叩いたりしやアがる、全体おかしな奴だ、他人《ひと》の家へつか/\這入《へい》って、お茶ア飲んで菓子を喰倒しやアがって、ほんとに風の悪い奴だ」
新「師匠美代ちゃんが泣いて居るから見て遣んなよ、お母の云いようも悪い」
三「旦那御心配なさいます
前へ
次へ
全113ページ中33ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング