と深くなって居ますが、遣い過ぎて金が廻らなくなったので、有松屋へ行っても不挨拶《ぶあいさつ》をするゆえ来にくゝなり、何うも都合が悪いと見えて、茶屋小屋から口を掛ける事もなし、此の頃では打絶《うちた》えて逢いませんので、美代吉も気を揉んで居る処へ身請の話になり、胸が痛く、
「はい」
と忌《いや》アな返事をしました。所へ来ましたのは藤川庄三郎で、此の頃では深川六間堀《ふかがわろっけんぼり》へ蟄息《ちっそく》致して居ましたが、駿府《すんぷ》から親族の者が出て来まして、金策が出来、商法の目的を附け、何《ど》んな所へでも開店|為《し》ようという事に成りましたので、美代吉に悦ばせる心算《つもり》ゆえ大《おお》めかしで、其の頃|散髪《ざんぎり》になりましたのは少なく、明治五年頃から大して散髪《ざんぱつ》が出来ましたが、それでも朝臣《ちょうしん》した者は早く頭髪《あたま》を勧められて散髪《ざんぎり》に成立《なりたて》でございますが、また散髪に成って見ますると、この撫付けた姿を見せたいと、惚れている女には尚変った所が見せたく、黒の羽織に白縮緬《しろちりめん》の兵児帯《へこおび》で格子の外へ立ち、家《う
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