の処へ往《い》くと、びらが一ぺえ来てえるので、待って書いて貰いましたんで、大きに遅くなったんでげすが、その代り美代ちゃんはちゃんと中軸《なかじく》にして、そこらは抜目無くして置いた事は、後で御覧なすっても解りますが、時に今ね母親さん美土代町の奧州屋《おうしゅうや》の旦那がね、ほんとに粋《すい》な苦労人で、美代ちゃんを呼んで度々《たび/\》お座敷も重なると、家《うち》で案じるといけないから、ちょいとお母さんにあかして仲好《なかよし》に成りてえと仰しゃるから、お連れ申して来ましたんで」
婆「あれまア何うもまア表に居らっしゃるの……何うぞ此方《こっち》へお上り遊ばして下さい、まことに思い掛けない事で、何うぞ此方《こちら》へ……師匠|此方《こちら》へ案内してお上げ申しておくれよ」
三「ヘヽヽ此方《こちら》へお上んなさいまし」
旦「はい御免……お母さんお初にお目にかゝります、毎度美代ちゃんを呼んで世話を焼かしますが、何うぞ心安く……」
婆「まア何うも宜く入らっしゃいました、毎度また彼《あれ》を御贔屓《ごひいき》に遊ばして有難う存じます、宜くまア此様《こん》な狭い汚ない所へ入らっしゃいました、何時
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