せうか。「アヽ左様《さやう》かい、汁粉《しるこ》を喰《くひ》に来《き》たのか、夫《それ》は何《ど》うも千萬《せんばん》辱《かたじけ》ない事《こと》だ、サ遠慮《ゑんりよ》せずに是《これ》から上《あが》れ、履物《はきもの》は傍《わき》の方《はう》へ片附《かたづけ》て置け。「へい。「サ此方《こつち》へ上《あが》れ。「御免下《ごめんくだ》さいまして。……是《これ》から案内《あんない》に従《したが》つて十二|畳《でふ》許《ばかり》の書院《しよゐん》らしい処《ところ》へ通《とほ》る、次は八|畳《でふ》のやうで正面《しやうめん》の床《とこ》には探幽《たんにゆう》の横物《よこもの》が掛《かゝ》り、古銅《こどう》の花瓶《くわびん》に花が挿《さ》してあり、煎茶《せんちや》の器械《きかい》から、莨盆《たばこぼん》から火鉢《ひばち》まで、何《いづ》れも立派《りつぱ》な物ばかりが出て居《ゐ》ます。「アヽ当家《たうけ》でも此頃《このごろ》斯《かう》いふ営業《えいげふ》を始めたのぢや、殿様《とのさま》も退屈凌《たいくつしの》ぎ――といふ許《ばかり》でもなく遊《あそ》んでも居《ゐ》られぬから何《なに》がな商法《しやう
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