い結構《かゝり》がない、玄関正面《げんくわんしやうめん》には鞘形《さやがた》の襖《ふすま》が建《たて》てありまして、欄間《らんま》には槍《やり》薙刀《なぎなた》の類《るゐ》が掛《かゝつ》て居《を》り、此方《こなた》には具足櫃《ぐそくびつ》があつたり、弓《ゆみ》鉄砲抔《てつぱうなど》が立掛《たてかけ》てあつて、最《い》とも厳《いか》めしき体裁《ていさい》で何所《どこ》で喫《たべ》させるのか、お長家《ながや》か知《し》ら、斯《か》う思ひまして玄関《げんくわん》へ掛《かゝ》り「お頼《たの》ウ申《まうし》ます、え、お頼《たの》ウ申《まうし》ます。「ドーレ。と木綿《もめん》の袴《はかま》を着《つ》けた御家来《ごけらい》が出て来《き》ましたが当今《たゞいま》とは違《ちが》つて其頃《そのころ》はまだお武家《ぶけ》に豪《えら》い権《けん》があつて町人抔《ちやうにんなど》は眼下《がんか》に見下《みおろ》したもので「アヽ何所《どこ》から来《き》たい。「へい、え、あの、御門《ごもん》の処《ところ》に、お汁粉《しるこ》の看板《かんばん》が出《で》て居《を》りましたが、あれはお長家《ながや》であそばしますのでげ
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