何《なん》となく可笑味《をかしみ》がありましたから一|席《せき》のお話に纏《まと》めました。処《ところ》が当今《たうこん》では皆《みな》門弟等《もんていら》や、孫弟子共《まごでしども》が面白《おもしろ》をかしく種々《いろ/\》に、色取《いろどり》を附《つ》けてお話を致《いた》しますから其方《そのはう》が却《かへつ》てお面白《おもしろ》い事でげすが、円朝《わたくし》の申上《まうしあ》げまするのは唯《たゞ》実地《じつち》に見ました事を飾《かざ》りなく、其盤《そのまゝ》お取次《とりつぎ》を致《いた》すだけの事でござります。小川町辺《をがはまちへん》の去《さ》る御邸《おやしき》の前《まへ》を通行《つうかう》すると、御門《ごもん》の潜戸《くゞりど》へ西《にし》の内《うち》の貼札《はりふだ》が下《さが》つてあつて、筆太《ふでぶと》に「此内《このうち》に汁粉《しるこ》あり」と認《したゝ》めてあり、ヒラリ/\と風で飜《あほ》つて居《を》つたから、何《なん》ぞ落語《はなし》の種子《たね》にでもなるであらうと存《ぞん》じまして、門内《なか》へ這入《はい》つて見ましたが、一|向《かう》汁粉店《しるこや》らし
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