》と云《い》ふべきは、渋沢栄一君《しぶさはえいいちくん》だらう。乙「なーる程《ほど》、にこやかで頬《ほゝ》の膨《ふく》れてゐる所《ところ》なんぞは大黒天《だいこくてん》の相《さう》があります、それに深川《ふかがは》の福住町《ふくずみちやう》の本宅《ほんたく》は悉皆《みな》米倉《こめぐら》で取囲《とりまい》てあり、米俵《こめだはら》も積揚《つみあげ》て在《あ》るからですか。甲「そればツかりぢやアない、まア此《こ》の明治世界《めいぢせかい》にとつては尊《たふと》い御仁《おひと》さ、福分《ふくぶん》もあり、運《うん》もあるから開運出世大黒天《かいうんしゆつせだいこくてん》さ。乙「成程《なるほど》、子分《こぶん》の多人数《たにんず》在《あ》るのは子槌《こづち》で、夫《そ》れから種々《いろ/\》の宝《たから》を振《ふ》り出《だ》しますが、兜町《かぶとちやう》のお宅《たく》へ往《い》つて見ると子宝《こだから》の多い事。甲「第《だい》一|国立銀行《こくりつぎんこう》で大黒《だいこく》の縁《えん》は十分《じふぶん》に在《あ》ります。乙「そんなら蛭子《えびす》は何所《どこ》だい。甲「馬越恭平君《ばごしき
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