年お前が若を駕籠に乗せて連れて来た時、先方から取った書付、彼《あれ》は今だに取ってあるだろうノ、妹の縁家《えんか》堺屋《さかいや》と云う薬店《やくてん》へ出入《でいり》の菅野伊之助と云う一中節《いっちゅうぶし》の師匠と姪《めい》の若が不義をいたし、斯様《かよう》なことが世間へ聞えてはならぬと云うので、大金を出して手を切った、尤《もっと》も其の時お前が仲へ這入ったのだから、何も間違はあるまいけれど、どうか当分若を預かってくれと云う手紙を持って、若同道でお前が来たから、その時|私《わし》が妹の処へ返詞《へんじ》を書いてやったのだ、手前方へ預《あずか》れば石の唐櫃《かろうと》へ入れたも同然と御安心下さるべく候《そろ》と書いてやった」
勝「ヘイ/\成程」
主人「何《なん》でも伊之助と手を切る時、お前の扱いで二百両とか三百両とか先方へやったそうだナ」
勝「エ、左様で、三百両確かにやりました」
主人「其の伊之助がもしも若の許《もと》へ来て逢引でもする様な事があったら貴様済むまいナ」
勝「そりゃア何うも先生の前《めえ》でげすが、アヽやってお嬢さんもぶらぶら塩梅《あんべえ》が悪くッてお在《い
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