なさるんだから、早く両児《ふたり》を片付けて上げようと存じまする親切で、直ぐ越佐さんの方へ参りまして斡旋《とりもち》を致すと、先方《さき》でも子供が欲《ほし》いと思ってるところなんでございますから、相談は直ぐに纒《まとま》りまして、お米は越佐の養女に貰われ、夫婦も大層喜び、乳母をかゝえるなど大騒ぎでございます。さてこれで女の方は片付いたがまだ一人いるんで、勝五郎は逢う人ごとに子供はいらねえかと云ってますんで、口の悪い友達なんかは、
 ○「オイ勝ウ、手前《てめえ》な、そんなに子供々々と己達《おれだち》にいうより、好《い》いことがあらア」
 勝「なんだ、誰か貰ってくれるんか……」
 ○「うんにゃア、逆上《のぼせ》ていやがるなア此奴《こいつ》は余っぽど、そんなに荷厄介するならよ、捨《うっち》ゃって仕舞やア一番世話なしだぜ、ハヽヽヽヽ」
 勝「こん畜生《ちきしょう》、手前《てめえ》のような野郎が捨児《すてご》をするんだ、薄情の頭抜《ずぬ》けッてえば」
 ○「勝さん怒《おこ》ったって仕方がねえや、それじゃアお前《めえ》売って歩きねえな、江戸は広《ひれ》えとこだ、買人《かいて》があるかも知れねえ、
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