ねえことでさア、宜うごす、明日《あす》アポン/\と打壊《ぶっこわ》しやしょう」
 晋「おい/\お前は何を言ってるんだよ、私《わし》は何処《どこ》も壊してくれなんかッてえ事|言《いい》やしない」
 勝「いけねえや、先生、昨日仰ゃったあの狸の伊之をドーンとお遣《や》んなすったお座敷を毀《こわ》すんでげしょう、あんな事のあったお座敷は居心が良くねえから、ナニ外の仕事は何うでも押ッ付けてえて遣っ付けまさア」
 晋「困るな早呑込みをしては、左様《そう》じゃないのだよ、あの座敷も建直すことは建直すがの、それより先に始末を付けなくてはならないものがあるんだ」
 勝「ヘー、違《ちげ》えましたか、ヘー」
 晋「そら大阪の方で子供を貰おうと仰ゃる方な」
 勝「ウムヽヽヽヽ、違えねえあの一件か、良うがすとも大丈夫《でえじょうぶ》でげす、御心配《ごしんぺえ》なせえますな、ナニ訳アねえや直ぐ」
 晋「まア待ってくんな、其様《そんな》に慌てなくても宜《よ》い」
 おいそれ者の勝五郎が飛出そうとするを引止め、高根の晋齋は懇々《こん/\》と依頼しました。そこで鳶頭も先生様があゝ云って、己《おい》らのようなものにお頼み
前へ 次へ
全158ページ中27ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング