は伊之助に相違ないから、
勝「アヽ何うも誠に済みませぬ、慥《たしか》に伊之の野郎に違《ちげ》えごぜえませぬ」
主人「それ見ろ、然《しか》るに何《なん》で昨夜《ゆうべ》は来る筈がないと申した」
勝「イエ、昨夜は何うしても来る訳がごぜえませんので」
主人「今夜のは確《たしか》に伊之助に相違ないナ」
勝「ヘイ、伊之の野郎で」
主人「それが間違うと大事《おおごと》になるぞよ」
勝「イエ、何様《どん》な事があっても、よ宜しゅうごぜえます」
主人「ウム宜《よ》し」
ソッと抜足《ぬきあし》をして自分の居間へ戻り、六連発銃を持来《もちきた》り、襖の間から斯《こ》う狙いを附けたから勝五郎は恟《びっく》りして、
勝「まゝ先生乱暴な事をなすっちゃアいけませぬ、伊之の野郎は打殺《ぶちころ》しても構やアしませぬが、もしもお嬢さんにお怪我でもありましては済みませぬから」
主人「イヽヤ気遣いない」
伯父の高根《たかね》の晋齋《しんさい》は、片手に六連発銃を持ち襖の間から狙いを定め、カチリと弾金《ひきがね》を引く途端、ドーンと弾丸《たま》がはじき出る、キャー、ウーンと娘は気絶をした様子。
晋
前へ
次へ
全158ページ中15ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング