ト慣れていますから、旗下は斯《こ》う大名は斯うと、まア婆アぐらいに結分《ゆいわけ》るものは有りませんね」
 蟠「お前は一体器用だからな、婆ア少しお前に頼みがある、今日はまア緩《ゆっく》り遊んで往《ゆ》くが宜《よ》い」
 婆「有難う存じます」
 蟠「こりゃア誠に少しばかりで気の毒だが、これで酒の一口も飲んでくれ」
 婆「まア、何《ど》うも済みませんね、毎度有難う存じます」
 蟠「礼にゃア及ばねえ、頼みというのは外《ほか》じゃねえがな、此女《これ》を今度或る大名へ奉公に出すのだが、余り下方風《しもがたふう》も安ッぽい、手数であろうが御殿風に髪を直してくれまいか」
 婆「そんな事なら何《なん》の造作《ぞうさ》も有りませんが、少し道具が入りますから、一寸宅へ帰って持ってまいりましょう、奉公先はお大名ですか、お旗下ですかえ」
 蟠「大名よ」
 婆「それなら其の様に道具を持ってまいりましょう」
 蟠「宅へ帰るのは宜《よ》いが、己の宅で斯《こ》う/\斯様《こう》なんて事を云っちゃア困るぞ」
 婆「へゝゝ、そんな入らざる口をきくような婆アじゃアございません、何か外《ほか》に御趣向が……」
 蟠「いや別
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