まいって手討にいたしました」
右「ふうむ、文治が其の毒婦を殺したのか」
喜「いゝえ私が……」
右「おゝ其方《そち》か、それは何方《どちら》でも宜《よ》い、文治という奴は余程義侠の心に富んだ奴と見えるな、定めし剣術の心得もあろうな」
喜「はい、真影流《しんかげりゅう》の奥許《おくゆる》しを得て居りまして、なか/\の腕利《うできゝ》でございます」
右「天晴《あっぱれ》な腕前じゃの、それで七人力あるのか」
喜「御意にございます」
右「以前《もと》は堀家の浪人と申すが左様であるか」
喜「御意にございます」
右「よし/\、それで文治の素性《すじょう》並びに日頃の行状は能く相分った、少し思う仔細があるから、内々《ない/\》にて蟠龍軒と申す者の素性及び行状を吟味いたすよう取計らえ」
喜「畏《かしこ》まりました」
それから段々蟠龍軒の身の上を取調べますると、法外な悪党という事が分りましたので、事細かに右京殿へ言上《ごんじょう》いたしました。それと同時に此方《こなた》は文治の身の上、石川土佐守殿は再応文治をお取調べの上、口証爪印《こうしょうつめいん》も相済みまして、いよ/\切腹を仰
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