ゥんずく》裏店《うらだな》の内儀《かみ》さん達は、これでも昔は内芸者《うちげいしゃ》ぐらいやったと云うを鼻に掛けて、臆面《おくめん》もなく三味線を腰に結び付け、片肌脱ぎで大きな口を開《あ》いて唄う其の後《あと》から、茶碗を叩く薬缶頭《やかんあたま》は、赤手拭の捩《ねじ》り鉢巻、一群《ひとむれ》大込《おおごみ》の後《うしろ》から、脊割羽織《せわりばおり》に無反《むぞり》の大小を差し、水口《みなくち》或は八丈の深い饅頭笠《まんじゅうがさ》を被《かぶ》って顔を隠したる四五人の侍がまいりました。確かにそれと思いましたが、顔は少しも見えませぬ。文治は扨《さて》はと身固めをして、件《くだん》の侍の近寄るを待って居ります後《うしろ》から、立花屋の忰《せがれ》が予《かね》ての約束に従い、渋団扇《しぶうちわ》をもって合図を致しました。ところが、ずぶろく酔うた亥太郎が横合からひょろ/\出かけまして、突然《いきなり》侍の笠に手を掛け、力まかせに引きますと、二人の侍は笠を取られて輪ばかり被り、真ッ赤になって、
侍「やい待て、無礼だ」
亥「やア人違《ひとちげ》えだ、そんなら此奴《こいつ》か」
とまた側に居
前へ
次へ
全222ページ中212ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング