ワすから其の使《つかい》にでもおいで下さいましたか、それとも忰めが何か馬鹿な事でも致しましたか」
 女「いえ/\私《わたくし》はそんな忌《いや》らしいことで参ったのではありませぬ」
 主「へえ、これは失礼な事を申しました、貴方は年を取っておいでゞもお美くしいから、万一忰が夫婦約束でも致しはせぬかと邪推して失礼を申しました、へえ御免下さいまし、へえ/\何《なん》の御用でござりますか」
 女「ちょっと貴方の息子さんにお聞き申したい事がありまして」
 主「それいよ/\、いえ忰は一寸《ちょっと》」
 女「いゝえ、そんな事ではござりません、此方《こちら》に文治様がおいでなさいましょうか、ちょっとお伺い申します」
 主「一体あなたは何方《どちら》からおいでになりました」
 女「私《わたくし》は当時權三郎方に居ります下女でござりますが、何《なん》と申したら宜《よ》うござりましょうね、あの何《なん》でござんすよ、三宅島からと申して下さいまし」
 主「えッ、島から、さア大変、旦那様ア女嫌いだとばかり思っていたが、島においでなすったらお気が変ったと見えて、飛んだ事をやらかしなさいましたなア」
 女「御老人
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