ニ料理人|兼帯《けんたい》で頼まれて往って居ります、旦那様はお宅をお払いになりまして、差当り御当惑なさいましょう、実は婆さんと二人で淋しく思っているところでございますから、おいで下さいますれば却《かえ》って好都合でございます」
と老人夫婦は下へも置かず懇《ねんごろ》にもてなして居ります。
四十二
文治も悦んで、
文「実は差当り居所《いどこ》に当惑いたしましたので、お頼みにまいりました、何分よろしく、お町丁度|宜《よ》かったなア」
町「まア何より有難う存じます」
文「友之助や森松は相変らず折々遊びにまいりましょうか」
主「えゝ、もう皆さんが代り/\お尋ね下さいます、いつも森松さんが来なさると、貴方のお話をしちゃア帰りには泣別れを致します、それからつい十日ばかり以前でございますが、友之助と豊島町の亥太郎さんが落合いまして、旦那様方が無事に蟠龍軒を討って来れば宜《よ》いがと、大層心配しておいでなさいました」
文「はい、手前どもゝ其の決心で江戸表を立ってまいったのでござりますが、行違《ゆきちが》いまして、又ぞろ江戸へ引返《ひっかえ》してまいるような事になりました、此の上は
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