に神々を祈りながら熊に尾《つ》いてまいります。やがて半道《はんみち》も来たかと思いますと、少し小高き処に一際《ひときわ》繁りました樹蔭《こかげ》がありまする。何か知らんと透《すか》して見れば、樵夫《きこり》が立てましたか、但《たゞ》しは旅僧《たびそう》が勤行《ごんぎょう》でもせし処か、家と云えば家、ほんの雨露《うろ》を凌《しの》ぐだけの小屋があります。文治は立止って表から大声に、
 文「えゝ、お小屋に何方《どなた》かおいでなさるか、はて、人のいそうな家だが、御免下さい」
 と中へ入って見ましたが、暗がりで少しも分りませぬ。懐中から用意の火打道具を取出しまして、附木《つけぎ》に移し、四辺《あたり》を見ますと、何時《いつ》か熊は何処《どこ》へか往ってしまいました。
 文「何《ど》うも人の住んだような跡があるが」
 と又附木を出して隈《くま》なく見廻しますと、柱とおぼしき処に何か書いてあります。それも木の燃えさしで書きましたのですから、はっきり分り兼ます。その内に附木は燃え切ってしまう。
 文「やア、こりゃ困ったわい」
 と其処《そこ》らの木屑《きくず》に火を移して読みますると、「我が恋は
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