フ親方でございましょう。
 猟人「やア喜右衞門《きえもん》どん、今なア二居ヶ峰にえれえ事がありやしたア、己《おら》アとな彌右衞門《やえもん》と二人での、帰《けえ》るべえと思ったら、えれえ熊ア出やした、撃《ぶ》つべえと思うと、側に女さア附いているだて撃つことが出来ねえだ、己ア大《でけ》え声で、女郎《めろう》退《ど》けやアと喚《がな》っても退かねえでな、手を合せて助けてくれちッて泣くでえ、女郎退かねえば撃《ぶ》っ殺すぞと云っても逃げねえだ、彌右衞門め腹ア立って、彼奴《あいつ》は化物だんべえから熊と一緒に撃つべえと云うだ、そんだから己ア後《あと》でまたお前《めえ》におっ叱《ちか》られると詰《つま》んねえだから、一走《ひとッぱし》り往って喜右衞門どんに聞いて来《く》べえと云って、此処《こゝ》へ来る途中で鉄砲が鳴りやした、多分彌右衞門め、己《おら》の帰《けえ》りを待たねえで撃ったんだんべえ、何《なん》ぼ何《なん》でも喜右衞門どん、人間を撃っちゃア悪かんべえな」
 喜「悪いとも/\、たとい間違いでも人を撃《ぶ》っ殺すと、自分の首さアおっ飛ぶぞ」
 猟「やア、そりゃ困った事が出来たな」
 と両人《ふ
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