Eって打付けましたけれども、文治は少しも動かぬものですから、死んだと思うてか、いよ/\側に寄りまして、文治の胸元に刺さりました矢に手を掛け、引起そうと致しまする其の手をむんずと掴《つか》んで起き上りますと、島人は恟《びっく》りして、
島人「あゝ、あゝ」
文治は手を取った儘、胸元に刺したと見せた矢を片手に持ち、
文「これ島人、最前から怪しい者ではない、助けてくれと申した言葉は其許《そこもと》の耳に通じないか、我は難船した者でござる、頼りなき漂流人でござるぞ、お聞入れなすったか、宜しいか」
と手を放しますると、又々腰に差したる木刀|様《よう》の物を持って文治に打ってかゝる。その小手下《こてした》を掻潜《かいくゞ》って又も其の手を確《しか》と押え、
文「はて、此奴《こいつ》は言葉が通ぜぬと見えるわい、何時《いつ》まで問答しても無益なり」
と考え直して、手真似口真似して「己《おれ》は決してお前に仇《あだ》をなす者ではない、漂流人で難儀して居《お》る者である」ということを知らせますると、少しは分ったものと見えまして、強《し》いて手向いする様子もございませぬ。
文「あなたは何処《どこ
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