ノ逢うの基《もと》でございます。
二十八
さて文治は船頭を二人雇うて乗出しますると、
舟子「旦那、心配しなさるな、私《わし》らが二人附いていりゃアどんな風でも大丈夫でがす、陸《おか》を行くよりも沖の方が宜《い》いくらいで、やい吉《きち》い確《しっ》かりしろ」
吉「よし、やッ、どっこいさア」
だん/\漕《こ》いでまいりますと、俄《にわ》かに空合《そらあい》が悪くなりまして、どゝん/″\と打寄する浪は山岳の如く、舟は天に捲上《まきあ》げられるかと思う間もなく、ごゝゝゝごうと奈落《ならく》の底へ沈むかと怪しまるゝばかり、風はいよ/\烈《はげ》しく、雨さえまじりてザア/\/\ドドドウという音の凄《すさ》まじさ、大抵の者なら気絶するくらいでございます。
文「もう斯《こ》うなったら仕方がない、二人とも確《しっ》かりやれ」
と文治も一生懸命であか[#「あか」に傍点]を掻出《かきだ》して居ります。烈風ます/\猛《たけ》り狂って、黒雲《くろくも》の彼方《かなた》此方《こなた》は朱《しゅ》をそゝいだようになりました。船頭はこれを赤じま[#「赤じま」に傍点]と申します。何方《どっち》が西
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