竄キ時、國藏と二三の奴らを頼み合い、飛んだ事をやろうと為《し》やしたところを、お前《めえ》さんに叱り付けられて思い直したお蔭で、旦那を始め私《わっち》らまで今日《きょう》の喜び、実に面目次第もござんせぬ、有難う存じます」
 喜「併《しか》しあの時は宜《よ》くお止《とま》り下すった、そのお蔭には此の通り文治殿にも表向きで、お目に懸れるような仕合せになりました」
 文治はそれと悟りまして、
 文「ハヽア、それじゃア流罪になります時、あの万年橋で、多分そんな事だろうと思って、それとなく叱りましたが、藤原氏何かに付けて穏便《おんびん》なおあつかい、有難う存じます」
 亥「えゝ旦那、もっと目出度《めでて》えことが有りやすぜ、おい友さん、此方《こっち》へ来《き》ねえ、あの桜の馬場の人殺し一件よ、あの時取った煙草入を旦那に預けて置きましたが、ありゃア友さんが蟠龍軒に売った品だという、して見りゃア御新造様のお父《とっ》さんを殺した奴は、あの蟠龍軒に相違ござんせぬ」
 文「フーウム、友之助、ちょっと此処《こゝ》へ、今棟梁が申した通り、あの煙草入は確かにお前が蟠龍軒に売った品か」
 友「えゝ、こりゃア私が
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