の》で、年も取ってるし、御馳走の酒を戴き、酔払いになったもんだから、身体が横になる機《はず》みに懐から雪踏が落ちただから、どうか御勘弁を」
と詫びましたが、浪人は肩を怒らせまして、
甲「勘弁|罷《まか》りならん、能く考えて見ろ、人の吸物の中へ斯様に屎草履を投込んで、泥だらけにして、これを何うして喰うのだ」
喜「誠に御道理《ごもっとも》……併《しか》し屎草履と仰しゃるが、米でも麦でも大概《たいげえ》土から出来ねえものはねえ、それには肥料《こやし》いしねえものは有りますめえ、あ痛い、又打ったね」
甲「なに肥料《こやし》をしないものはないが、直接《じか》に肥料を喰物《くいもの》に打《ぶっ》かけて喰う奴があるか、怪《け》しからん理由《わけ》の分らん奴じゃアないか」
乙「これ/\其様《そん》な者に何を云ったって、痛いも痒《かゆ》いも分るものじゃアない、家来の不調法は主人の粗相だから、主人が此処《こゝ》へ来て詫るならば勘弁して遣《や》ろう、それまで其の小包を此方《こちら》へ取上げて置け、なに娘を連れて年を老《と》っている奴だと、それ/\今も云う通り家来の不調法は主人の不調法だから、主人が此処へ来
前へ
次へ
全470ページ中90ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング