》ア汚ねえ根性であった、何故|此様《こん》な意地の悪い心になったかと考えたアだね、私が是れを考えなければ狗畜生《いぬちくしょう》も同様でごぜえますよ、私ア人間だアから考えました、はアー悪《わり》い事をしたと思いやしたから、正直に打明《ぶんま》けて旦那さまに話いして、私が千代に代って切られた方が宜《い》いと覚悟をして此処《こけ》え出やした、さアお切んなせえ、首でも何でもお切んなせえまし」
長「妙な奴だなア、手前《てめえ》それは全くか」
權「へえ、私《わし》が毀しやした」
作「成程長助、此者《これ》が毀したかも知れん、懺悔《ざんげ》をして自分から切られようという以上は、然《そ》うせんければ宜しくない、併《しか》し久しく奉公して居《い》るから、平生《へいぜい》の気象も宜く知れて居《お》るが、口もきかず、誠に面白い奴だと思っていた、殊《こと》に私《わし》に向って時々|異見《いけん》がましい口答えをする事もあり、正直者だと思って目を掛けていたが、他人の三層倍《さんぞうばい》も働き、力も五人力とか、身体相応の大力《だいりき》を持っていて役にも立つと思っていたに、顔形には愧《は》じず千代に恋慕を仕掛
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