すことじゃ」
番「でございますか、なにほうず[#「ほうず」に傍点]は出来ます」
數「何を申す」
番「へい、船の上をずる/\何時《いつ》までも曳《ひ》いているような長いものをほうず[#「ほうず」に傍点]と申しますそうで」
數「いや中々の博識《ものしり》じゃ、うふゝゝ面白い男だの、此の泉水《せんすい》は潮入《しおいり》かえ」
番「へえ何と…」
數「いやさ此の泉水は潮が入《はい》るかえ」
番「へえ、何と御意遊ばします」
數「潮入りかというのじゃ」
番「へえ/\只今差上げますあの誰かお盆へ塩を持って来て上げな、どうも御癇癖《ごかんぺき》だから、お手をお洗い遊ばすのだろう、へえお塩を」
數「何を持って来るのだ、此の泉水は潮入かと申すのだ」
番「へえ、左様でございます」
大「何卒《どうぞ》これへ入らっしゃいまし」
數「うん岩越、ひょろ/\歩くと危いぞ池へ落《おっ》こちるといかん、あゝ妙だ、家根《やね》は惣体《そうたい》葺屋《ふきや》だな、とんと在体《ざいてい》の光景《ありさま》だの」
大「外面《そと》から見ますと田舎家《いなかや》のようで、中は木口を選んで、なか/\好事《こうず》に出来て居ります」
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