遣《や》りてえのだ」
目「これこれ控えろ、追って吟味に及ぶ、今日《こんにち》は立ちませえ」
と直《すぐ》に神原兄弟は頭預《かしらあず》けになって、宅番《たくばん》の附くような事に相成り、勘八という下男は牢へ入りました。權六は至急お呼出しになって百日の遠慮は免《ゆ》りて、其の上お役が一つ進んで御加増となる。遠山權六は君恩の辱《かたじけ》ないことを寝ても覚めても忘れやらず、それから毎夜ぐる/\廻るの廻らないのと申すのではありません。徹夜《よどおし》寝ずに廻るというは、実に忠義なことでございます。此の事を聞いて松蔭大藏が不審を懐《いだ》き、どうも神原兄弟が頭預けになって、宅番が附いたは何ういう調べになった事かはて困ったものだ、彼奴《あいつ》らに聞きたくも聞くことも出来ん自分の身の上、あゝ案じられる、国家老の出たは容易ならん事、どうか国家老を抱込みたいものだと、素《もと》より悪才に長《た》けた松蔭大藏|種々《いろ/\》考えまして、濱名左傳次《はまなさでんじ》にも相談をいたし、国家老を引出しましたのは市ヶ谷|原町《はらまち》のお出入町人|秋田屋清左衞門《あきたやせいざえもん》という者の別荘が橋
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