力無双《だいりきむそう》の權六に捉《とら》えられたのでございますから身動きが出来ません。引摺《ひきず》られるようにしてお役所へ参り、早々届けに成りました事ゆえ、此の者を縛《くゝ》し上げまして、其の夜《よ》罪人《とがにん》を入れ置く処へ入れて置き、翌日お調べというのでお役所へ呼出しになりました時には、信樂豐前《しがらきぶぜん》というお方がお目付役を仰付けられて、掛りになりました。此の信樂という人は左《さ》したる宜《よ》い身分でもないが、理非明白な人でありますから、お目付になって、内々《ない/\》叛謀人《むほんにん》取調べの掛りを仰付けられました。差添《さしぞえ》は別府新八《べっぷしんぱち》で、曲者は森山勘八《もりやまかんぱち》と申す者で、神原五郎治の家来であります。呼出しになりました時に、五郎治の弟《おとゝ》四郎治が罷《まか》り出ます事になりお縁側の処へ薄縁《うすべり》を敷き、其の上に遠山權六が坐って居ります。お目付は正面に居られます。また砂利の上に莚《むしろ》を敷きまして、其の上に高手小手《たかてこて》に縛《くゝ》されて森山勘八が居りますお目付が席を進みて。
目付「神原五郎治|代《だい
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