予の病気より梅の御殿の方が案じられると折々《おり/\》仰せられます、今日《こんにち》は御病気伺いとして御名代《ごみょうだい》に罷《まか》り出ました、是《こ》れは水飴でございますが、夜分になりますとお咳が出ますとのこと、其の咳を防ぎますのは水飴が宜しいとのことで、これは極製《ごくせい》の水飴で、これを召上れば宜くお眠《よ》られます、上が殊《こと》の外《ほか》御心配なされ、お心を入れさせられし御品《おんしな》、早々《そう/\》召上られますように」
紋「うむ五郎治、あゝ予の病気は大した事はない、未《いま》だ壮年の身で、少し位の病魔に負けるような事はない、快《よ》い時は縁側ぐらいは歩くが、只お案じ申上げるのはお兄様《あにいさま》の御病気ばかり、誠に案じられる、お歳といい、此の程はお悪いようじゃが、何うじゃな」
五「はア一昨日《いっさくじつ》は余程お悪いようでございましたが、昨日《さくじつ》よりいたして段々御快気に赴《おもむ》き、今朝《こんちょう》などはお粥《かゆ》を三椀程召上りました、其の上お力になる魚類を召上りましたが、彼《あ》の分では遠からず御全快と心得ます」
紋「うむ悦ばしい、予が夜分咳
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