たが、大層御意に入《い》って、黄八丈は旦那様がお召に遊ばすと伺いましたが、少しお端手《はで》かも知れませんが、誠に宜《よ》いお色気でございます」
富「それじゃア話が出来んから此方《こっち》へ這入れ」
縫「御免遊ばして……恐入ります」
富「茶を遣《や》れよ」
縫「恐入ります……これは大層大きなお菓子でございますねえ」
富「それは上《かみ》からの下されたので」
縫「へえ中々|下々《しも/″\》では斯《こ》ういう結構なお菓子を見る事は出来ません、頂戴致します、有難う存じます」
富「あゝ此の二枚の着物は何処《どこ》から出たんだえ」
縫「そりゃアあの何でございます、私《わたくし》が極《ごく》心安い人でございまして、その少し都合が悪いので払いたいと申して、はい私の極心安い人なのでございます」
富「何ういう事で払うのだ」
縫「はい、その何でございます、誠に只もう出所《でどこ》が分って居りまして、古着屋などからお取り遊ばしますと、それは分りません事で、もしやそれが何でございますね、ま随分お寺へ掛無垢《かけむく》や何かに成ってまいったのが、知らばっくれて払いに出ます事が幾許《いくら》もございます、左様な
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