がまいりましょうか」
富「却《かえ》って貴様の方が宜かろう、女は女同志で、此の事を決していうな」
定「何う致しまして、決して申しは致しません」
と急いで出てまいりました。
四十三
お縫は迎いを受けて、衣服《きもの》が売れて幾許《いくら》かの口銭になることゝ悦んで、お定と一緒にまいりました。
定「旦那さま、あのお縫どんを連れてまいりました」
富「おゝ直《すぐ》に連れて来たか、此方《こっち》へ通せ」
縫「旦那様御機嫌宜しゅう」
富「其処《そこ》では話が出来ん、此方《こっち》へ這入れ構わずずうっと這入れ」
縫「はい……毎度御贔屓さまを有難う……毎度御新造様には種々《いろ/\》頂戴物を致しまして有難う存じます」
富「毎度面倒な事を頼んで、大分|裁縫《しごと》が巧《うま》いと云うので、大きに妻《さい》も悦んでいる、就《つい》ては忙しい中を態々《わざ/\》呼んだのは他の事じゃアないが、此の払物《はらいもの》の事だ」
縫「はい/\、誠に只お安うございまして、古着屋などからお取り遊ばすのと違って、出所《でどこ》も知れて居りますから上げました、途々《みち/\》もお定どんに伺いまし
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