小指一本ぐらい切られても構わんなどゝ、度胸で奉公にまいる者がありますが、薄作だからつい過《あや》まっては毀して指を切られ、だん/\此の話を聞伝えて奉公に参る者がなくなりました。陶器と申す物も唐土《から》には古来から有った物ですが、日本では行基菩薩《ぎょうきぼさつ》が始まりだとか申します。この行基菩薩という方は大和国《やまとのくに》菅原寺《すがわらでら》の住僧《じゅうそう》でありましたが、陶器の製法を発明致されたとの事であります。其の後《ご》元祖|藤四郎《とうしろう》という人がヘーシを発明致したは貞応《ていおう》の二年、開山|道元《どうげん》に従い、唐土へ渡って覚えて来て焼き始めたのでございましょうが、これが古瀬戸《こせと》と申すもので、安貞《あんてい》元年に帰朝致し、人にも其の焼法《やきほう》を教えたという。是《こ》れは今《こん》明治二十四年から六百六十三年|前《ぜん》のことで、又|祥瑞五郎太夫《しょんずいごろだゆう》頃になりまして、追々と薄作の美くしい物も出来ましたが、其の昔足利の時代にも極《ごく》綺麗な毀れ易い薄いものが出来ていた事があります。丁度|明和《めいわ》の元年に粂野美作守
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