云っても追付《おッつ》くめえ」
と一人が止めるのを、一人の男が頻《しき》りに知ったふりで喋って居ります。
三十九
別座敷に寝て居りましたお竹が、此の話を洩《も》れ聞き大きに驚き、
竹「もし/\宗達様/\/\(揺起《ゆりおこ》す)」
宗「あい/\/\、つい看病疲れで少し眠《ね》ました、はあー」
竹「よく御寝《ぎょしん》なっていらっしゃいますから、お起《おこ》し申しましては誠に恐入りますが、少し気になることを向座敷で噂をしております、他《ほか》の者の話は嘘《うそ》のように存じますが、中に江戸屋敷へ出入《でい》る職人とか申す者の話は、少し心配になりますから、お目を覚《さま》してくださいまし」
宗「あい……はア……つい何うも……はア大分まだ降ってる様子で、ばら/\雨が戸へ当りますな」
竹「何卒《どうぞ》あなた」
宗「はい/\……はア……何じゃ」
竹「其の話に春部と申す者が私《わたくし》の弟《おとゝ》を新町河原で欺討《だましうち》にして甲府へ逃げたと云う事でございますが、何卒《どうぞ》委《くわ》しく尋ねて下さいまし、都合に寄っては又江戸へ帰るような事にもなろうと思いますか
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